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鏡が左右逆に見える理由が分からない !?

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先日、NHKの「チコちゃんに叱られる」で興味深い問題が取り上げられていました。その番組では「鏡が左右逆に見える理由は分からない」と結論づけていました。

この鏡の問題はずっと昔、私が若かった頃に読んだSF作家、広瀬正の小説「鏡の国のアリス」がテーマとしていて、その小説の中で広瀬正は、鏡は左右逆になるが上下が逆にならない理由を、図解付きで微に入り細に入り非常に詳しく数十ページを費やして説明していました。私は途中で挫折してしまいましたが、でも面白かったです。

「チコちゃんに叱られる」では、まちなかで通行人に鏡を見せ、右手を上げてもらい、「鏡に写っている人物はどちらの手を上げていますか」と質問したところ、鏡の中の人物が左手を上げていると答えた人が10人、右手を上げていると答えた人が12人という結果となりました。番組では、なぜ人によって捉え方が異なるのか、心理学的に説明がつかない、としていました。

私なら間違いなく左手と答えたでしょう。この結果は質問の仕方によってかなり違ってくると思います。
 

鏡に写った人がどちらの手を上げているか人によって異なる理由

なぜ人によって捉え方が異なるのか。それは人によって鏡像そのものに注意を向ける人と、鏡像を前にしている自分に注意を向ける人とに分かれるからです。

「鏡に写っている人物」という意味を、鏡像そのものと理解する人は、それは鏡像ですから光の方向が逆であり、前後の向きが180度正反対となっています。当然左右が逆になっていることを認識しています。そのために「鏡に写っている人物」は左手を上げていると認識することになります。

一方で、「鏡に写っている人物」という意味を、鏡に映されている自分自身と理解する人は、自分は右手を上げているので、そのまま右手を上げていると認識することになります。こういう理解をする人は、鏡像が左右反転しているという事実には無頓着です。

左手と答える人は、物事を論理的に考える傾向が強いのかもしれません。右手と答える人は直感的に捉える傾向がありそうです。

ここからは、鏡は左右逆になるが上下が逆にならないという点について取り上げることにします。ここで説明上、分かりやすいように用語を定義しておきます。

鏡に映ることになるものを「客体」、鏡に写ったものを「鏡体」と呼ぶことにします。
 

鏡が左右逆に見える理由

まずは鏡が左右逆に見える現象についてです。白紙に右向き矢印を書きます。これが客体です。その右隣に鏡を置きます。その鏡に写っているのは鏡体です。

 

 

 

 

このように客体の横に鏡を置けば、鏡体は客体に対して左右が逆になります。あらためて説明するまでもありませんが、客体から出た光が鏡で反射されて進行方向が反転するため、客体の右側から出た光は鏡体の左側から反射され、客体の左側から出た光は鏡体の右側から反射されてきます。これが鏡が左右逆に見える理由です。

 

鏡の前に人が立った場合に左右逆に見える理由については最初に説明しました。見る人の注意の向け方によって認識が変わるため、右に見える人と左に見える人とで分かれます。
 

鏡で上下逆に見える条件

鏡が左右逆にはなるが上下が逆にならないのは、鏡が客体に対して横方向にあるからです。鏡を客体に対して上下方向に置けば上下が逆になります。

 

 

 

ここでは客体として壁に上向き矢印を置き、その上に鏡をおいたと考えてください。このように鏡を客体に対して上や下に置くことで、鏡体は上下が逆になります。このとき左右も逆になっています。客体の人が左手を上げると、鏡体は右手を上げる形になります。客体から見れば鏡体の左右は変わっていませんが、鏡体が上下180度反転しているため、客体から見て左右が変わっていないということは、鏡体から見れば左右が逆になっているということです。客体が立っている人とすれば、その人から上にある鏡を見れば、鏡体は上下が逆になって見えますし、左右も逆になって見えます。
 

バックミラーが左右逆に見えない理由

番組では、鏡に写った像が左右逆に見えない例としてバックミラーが挙げられていました。運転者がバックミラーを見て、後ろの車が右側のウインカーを点滅して右折した時、左に曲がったとは思わないから、鏡に写った像が左右逆に見えない場合がある。そうした一貫性がないために、鏡で左右逆に見える理由が分かっていないと結論づけています。

これは人がバックミラーを見る際に、後方の視野を確認するためという目的を意識しているからです。そのため運転者の側から見ることに注意が集中しています。運転者の側から見ているので、右に見えているものはそのまま右と認識します。鏡体の側から見て左右どちらであるかには注意が向いていません。最初に説明したように、鏡体の左右がどちらであるかは、自分が鏡体と自分のどちらの側に注意が集中しているかによって認識が異なってくるのです。

番組でも言っているように、その時の見る人の置かれた状況によって鏡体に対する認識が変わるのです。これは不思議でも何でもありません。

 

懐かしい問題が取り上げられたので書いてみました。


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