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Channel: 組み合わせテストケース生成ツール 「PictMaster」 とソフトウェアテストの話題
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Pairwise法よりも少ない!? 直交表方式でのテストケース数を大きく削減する「サイズ優先」

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Pairwise法と比較した場合の直交表方式の欠点として、生成されるテストケース数がPairwize法よりも多くなりがちだというものがあります。このことについては「Pairwise法と直交表のテストケース数と3因子間網羅率を比較する」で確認しています。

 

直交表方式でテストケース数が多くなる要因として、テストケース数が2のべき乗で増加するという性質が挙げられます。この問題に対してPictMasterOAでは2水準系直交表に加えて混合水準系直交表を追加しています。これにより、テストケース数が2のべき乗で増加するという従来の欠点を取り除くことができました。また生成方式で「サイズ優先」を設け、2水準系直交表と混合水準系直交表でのテストケース数を比較してどちらか少ないほうを生成結果として残せるようにしています。

 

この「サイズ優先」を指定した場合と「2水準系」のみを指定した場合でのテストケース数を比較してみました。

 

まずパラメータ数を8に固定して水準数を変化させた場合のテストケース数です。パラメータ数を8としたのは比較的平均的なパラメータ数だと考えたためです。

 

 

サイズ優先と2水準系との違いを見てみると、水準数が8を超えると2水準系ではテストケース数がそれまでの64から256と4倍に跳ね上がっていることが目につきます。同じ8水準でサイズ優先の場合は64から81への増加にとどまっています。水準数が14になるまでサイズ優先のほうがかなり少ないテストケース数となっています。2水準系のテストケース数で2のべき乗となっていない値があるのはダミー水準によって発生した重複するテストケースが削除されたためです。

 

この結果の水準数が6以上ではサイズ優先でのテストケース数がPairwise法の場合よりも少ない結果となっています。2水準系の直交表ではPairwize法よりもテストケース数が少なくなる場合はありますが、あくまでもモデルが直交表とぴたりと一致したときの例外的なものであり、ここでの結果のように連続して少なくなることはありません。

 

つぎに水準数を6に固定してパラメータ数を変化させた場合のテストケース数です。水準数を6としたのは7や5では混合水準系でぴたりと一致する直交表があること、また8や4では2水準系で同様にぴたりと一致する直交表があることからそのどれにも当てはまらない6としました。混合水準系には6水準の直交表もありますが、パラメータ数が少なかったり、サイズが大きくて今回の条件には一致しません。

 

 

結果を見るとそれほど大きな違いありませんが、混合水準系が一貫して2水準系よりもテストケース数が少ない結果となっています。2水準系が倍々に増加しているのに対して混合水準系では増加が緩やかです。Pairwize法と比較すると、パラメータ数が9以内まではサイズ優先でのテストケース数がほぼ同程度となっています。

 

以上から、PictMasterOAの「サイズ優先」の生成方式を使用すると、今回の条件ではこれまでの「直交表はPairwize法よりもテストケース数が多い」という定説を覆す結果が得られたということができるでしょう。
 


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